物件の囲い込みによる被害は売主に大きく影響を与えます

日本の不動産流通の未来

もっと知りたい!不動産流通業界とその未来とは?

このサイトについて

About me元不動産仲介業者の営業マンです。普段の生活では知りえない不動産流通業界について知って欲しいと考えこのサイトを立ち上げました。

大手不動産会社を中心とする物件の囲い込み(2020年2月7日追記)

大手不動産会社を中心とする物件の囲い込み(2020年2月7日追記)

物件の囲い込みとは?

2015年6月に報道された大手不動産会社による物件に囲い込み。財閥系や大手私鉄系、大手建築系などの大手不動産会社は知名度を生かし、売主から媒介契約を締結した物件について、物件が商談中であると偽り、他の不動産会社からの問合せ、仲介を拒絶することを日常的に行っています。
その目的は、売主からの仲介手数料、買主からの仲介手数料の両方を一つの取引で得るいわゆる両手の商売です。広告は自社だけが行うので、他の会社に問合せが流れず、自社に問合せが必ず入る。また双方の代理である為、社内で全てのことを進めることができ、手間が少ない。買主、売主双方の情報を握っているため、取引をまとめやすい。など不動産会社にとってはいいこと尽くめです。そこで泣きを見るのが特に売主。他の不動産会社の買主が、その物件の紹介を受けることが出来ず、需要と供給のバランスが崩れ、買い手市場に偏り、安い価格で成約する傾向になり、売主が損をするという結果になります。その詳細な報道は『週刊ダイヤモンド』で見ることが出来ます。
(その報道によると両手率が圧倒的に高いとされているのが、三井不動産リアルティと住友不動産販売の2社、それに続くのが東急リバブルとなっています。国の方も見つければ、業務停止もあり得ると言っていますが、調査はほとんど行われていないのが現状です。)

囲い込みを解消するために

その報道を受けてか、物件の囲い込みを防ぐ方法は、業界団体は検討しています。ただ法律の改正でなく、業界団体レベルの施策になる為、どれだけ有効に働くかはまだ分からない状況です。
上記の問題を受け、2016年にレインズ(不動産流通機構)が売却依頼主用の物件確認システムを立ち上げました。仲介業者がレインズに物件を登録すると、売却依頼主専用のIDとパスワードを記載した登録証明書が発行され、そのIDとパスワードを利用して、売主が売却を依頼した物件の取引状況を自身で確認することができます。※「専属専任媒介契約」と「専任媒介契約」のどちらかを締結した場合のみで、「一般媒介契約」の場合は発行されません。
自身の不動産がレインズに登録されたかどうか、という不安はこの証明書を受け取り、アクセスしてみることで解消できます。取引状況の種類は以下の3つ。

(1)公開中・・・他の不動産業者から問い合わせを受付けている状態
(2)書面による購入申込みあり・・・不動産業者が書面による購入申込みを受けた状態
(3)売主都合で一時紹介停止中・・・売却依頼主の事情により一時的に物件を紹介できない状態

売却活動が自身の知らないところで滞ってはいないか、直接確認できるのがメリット。登録資料も合わせて確認ができるので、意図通りの資料で情報が公開されているかどうかの確認も可能です。とはいえ、情報は登録され、公開中にはなっているものの、他社からの確認が入ったときに、商談中と偽ってはいないか・・・という不安は完全に拭うことはできません。囲い込みの完全解消とまでは行っていない現状があります。

売却依頼主用 物件確認(近畿レインズ)
http://www.kinkireins.or.jp/sell_request/

不動産業界に興味がある方にオススメの記事