コロナが不動産業界に与えた影響

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不動産業界へのコロナの影響(2022年9月追記)

不動産業界へのコロナの影響(2022年9月追記)

コロナが不動産業界に与えた影響

2020年から世界各国に多大な影響をもたらしたコロナウィルス。人の動きが制限され、旅行業界や飲食業界(外食)を筆頭に、各業界は大打撃を受けています。それに対し、家を出ずとも行動ができる通信販売サービスや、ウーバーイーツなどの宅配サービスの利用者が増えるのは当然の流れです。不動産の売買というのも、不動産会社の店舗に相談にいったり、物件の見学に行ったりと、基本的には人の移動を伴うもの。大打撃を受けた業界と同様に、不動産業界も大きく落ち込むかと思われました。 しかし、結論から言ってしまうと、意外にも不動産業界は大きくは落ち込んでいません。不動産の購入希望者は、予想に反して減りませんでした。
考えられる要因としてあげられるのは、「外出自粛」や「テレワークの浸透」による、人々のライフスタイルや、住まいに対する考えの変化です。「外出自粛」によって、人々が家で過ごす時間が増え、今まで表面化はしていなかった「現在の住まいに対する不満や要望」が顕在化。これまで以上に住まいについて考える時間が増え、「もっとこうだったらいいのに」と思うようになった人が、住まいの購入や買い換えを検討するようになっています。またコロナウィルスは、「テレワーク」という働き方を大きく推進させました。これは、コロナウィルスが流行している期間だけの一時的な措置ではなく、今後、世の中的に当たり前の働き方になっていくと思われます。自宅で仕事をするとなったら、たとえばワークスペースの確保など、これまで自宅に求めていなかったニーズが新たに生まれてきます。長く過ごす「自宅での空間」をより良いものにしたい、という思いが、不動産購入者を増加させているようです。
ただ、購入希望者は減っていない一方で、売却希望者は大きく減少しました。少しでもいい時期に、少しでも高く売りたいと考える売主は、『こんな時勢に家を買う人なんていないだろう』と予想し、売り控えをするからです。結果として、購入希望者の数は減っていないのに物件が少ない、という、明らかな『需要過多・供給不足』の構図に陥り、不動産の価格は上昇。もうしばらくこの状況は続きそうです。
「テレワーク」や「リモートワーク」により、勤務先に通える範囲に住まないといけない、という価値観も変化していきます。どこにいても仕事ができるなら、どこに住んでいてもいい。都心やベッドタウンに限らず、郊外の不動産の需要が高まっていくと予想されます。これまでの不動産市場は、都心は相場が上がる一方で、郊外は下がる一方、という傾向も、人々のライフスタイルの変化により、覆ることになるかもしれません。コロナウィルスは、今後も不動産業界に様々な影響をもたらしていきそうです。

買い手に不利な不動産市場

2022年現在、物件価格の上昇はより顕著になっています。(公社)近畿圏不動産流通機構によると、2021年10~12月期の中古マンション成約価格は前年同期比プラス7.4%、また6四半期連続での上昇と発表されました。オミクロン株の猛威を受けつつも、住宅需要が衰えることはまだありません。首都圏の新築マンション平均価格は6,260万円と、なんとバブル期を超え過去最高となりました。しかし需要の高まりの一方で、購入世帯の負担が重くなってしまっていることも事実。それに伴って購入できる人が減り、今後、需要減少・供給過多に転じれば、物件価格の上昇は止まります。不動産を「高く売る」という観点においては、ピークが近付きつつあるのかもしれません。
また住宅ローン金利の上昇の動きも見られ始めました。2月よりメガバンク3行(三菱UFJ・三井住友・みずほ)が、住宅ローン金利の指標となる10年固定の基準金利の引き上げを実施しました。いずれも、2015年~16年以来の高水準の金利を設定しています。これまで住宅の購入需要を後押ししていた「超低金利時代」に陰りが見え始めるとともに、その他、税制改正によって住宅ローン控除の控除額が減少する等、不動産を買いたい人にとっては、少しずつではありますが不利な状況になってきています。(2022年2月18日追加)

住宅価格上昇に追い打ちをかけるウッドショック

『ウッドショック』とは、1970年代に発生した『オイルショック』になぞらえた言葉で、木材価格の高騰を意味しています。引き起こされた原因としては、コロナウィルス蔓延に起因する供給側の人手不足や住宅の建築ラッシュなど、複数の要因があるのですが、建築用木材の供給が需要に追いつかなくなってしまったことで、結果として木材価格の高騰が続いています。
木材を多く使う木造の新築戸建の価格の上昇は顕著で、今後もその傾向は続くと予想されています。建売住宅を販売する会社は、そのまま住宅の販売価格を上げるか、もしくは、建築面積を小さくして費用圧縮に努めるようになりました。
また木造住宅に使用される木材だけでなく、鋼材不足(=アイアンショック)や半導体不足も相まって、住宅に使われる多くのものの原価が値上がり傾向になっています。それに伴い、多くの住宅建材・住宅設備のメーカーがいよいよ値上げを余儀なくされており、大手メーカーでも価格改定が行われています。 木材や鉄の価格高騰は、コロナの影響だけでなく、ロシアによるウクライナ侵攻等の影響も加わって、未だに今後の見通しが立たない状況です。(2022年9月2日追加)

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