不動産とVR(仮想現実)技術

近年、不動産業界でもVR(仮想現実)技術への期待は高まっています。しかし現状を見ると、VRは「一部で使われている便利な技術」にとどまり、業界全体に大きく広がっているとは言い難いのが実情です。その背景には、技術面だけでなく、不動産業界特有の構造的な課題もあります。
たとえばアメリカでは、売出し物件や成約物件ごとに業界共通のユニークなIDが付与され、それが一般にも公開されています。一方、日本ではそのような仕組みが整っておらず、物件情報は不動産会社ごとに分断されがちです。このことが、データ活用や新しいサービスの創出を難しくしている一因と言えます。
もしこうした課題が解消され、物件情報が標準化・オープン化されれば、VRと不動産の可能性は一気に広がります。実際、物件購入を検討する人の中には、遠方ではなく「住み慣れた近所で探したい」という方も少なくありません。そんな人が、街をさんぽしながらスマホやスマートグラスを通して、目の前の建物に「売出し中かどうか」「過去の成約価格」といった情報がレイヤー表示される世界が実現できます。要は街そのものが、不動産情報のインターフェースになります。
もちろん、プライバシーへの配慮は欠かせません。しかし進化や利便性の観点から見れば、不動産業界がよりOPENになり、ユーザーが正しい情報にアクセスしやすくなることは、大きな価値があります。VRとデータの力で、不動産取引がより身近で活発なものになる未来を、期待しています。